初めに
本記事では、メカトロ制御で使うCPUの主な構造と動作について書いています。対象のメカトロ制御で使うCPUとは、小規模で、処理能力は高くなく、機器組み込み用といったCPUです。一方、パソコン用とか、画像を扱う機器用のCPUは本記事の対象外です。
メカトロ制御の回路設計でMCU(マイコン)を使った設計をやっているけどその中のCPUのことは良くわからないとか、ブラックボックスとして見ているという人が少し理解を深めることに役立つのではないかと思っています。一方、CPUを内蔵するASICやFPGAの回路(RTL)設計をやるにはあまり役立たないと思います。
メカトロ制御で使うCPUといっても色々なメーカの色々な型番のものがあります。それぞれのCPUは資料が公開されていてそれを見ればある程度の構造や動作はわかると思いますが、ページ数が多くなかなかハードルが高いと思います。それに対して本記事がCPUの資料を見て理解するための糸口になればよいなと思っています。
「1 構造と動作」では、世の中に色々なCPUがある中でちょっと強引ですがメカトロ制御の回路設計者だと一般的に構造と動作をこんな風に把握したらよいのではないかという私の考えを示します。そののち例として用いる2種類のCPUに固有な点について資料でわかればそれも示します。参照した資料は記事内の脚注に記載しています。また本記事最後の参考資料の章にも参照した資料の一覧を記載しています。
「2 動作の確認 その1」と「3 動作の確認 その2」では、「1 構造と動作」に書いたCPUの動作の一部を確認します。アセンブリ言語で作成したプログラムでCPUを動かしながらデバッガーを用いて確認します。
例として用いるCPUは下記の2つです。
ARM製Cortex-M33はメカトロ制御用途のMCUでよく使われているCortex-Mシリーズの中の新しいCPUです。ルネサス製RX CPUはメカトロ制御用途のCISC型のCPUとしては割と新しい設計のCPUなので選びました。
また、MCU(マイコン)にはCPUだけでなくGPIOやタイマーといった周辺機能モジュール、メモリーなどが組み込まれていますが本記事の対象はCPUだけです。ただ、CPUと関連が深い割り込みコントローラには触れています。

本記事は私個人の見解であり誤った内容が含まれている可能性がありますので、そのつもりで見てください。
メカトロ制御向け CPUの構造と動作
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